とにかく地方自治の現場をこの目で見よう
2017年8月に地方行政・消防担当(旧自治省)担当の総務大臣政務官に就任しました。東京生まれ・育ちで「地方」(もちろん東京都も含まれますが)担当になりましたので、「とにかく地方自治の現場を見よう」と東京での公務の合間にできる限り地方を視察させてもらいました。
30都道府県•65市町へ
2018年10月に退任するまで、30道府県、65市町村を視察しました。人口減少や多発する災害に直面しながらも逞しく地域を守っている地方の方々の姿に感動しましたし、全国津々浦々にある豊かで多様な自然・文化資源を知り、「地方を活かすことが日本の発展につながる」と強く感じました。
その中で、政策のアイデアも生まれました。高齢化が進む過疎地域で頑張る若者がいます。「地域おこし協力隊」という国の政策があります。地方で活動する若者に国が最大3年間経済支援します。地方自治体の募集費用や協力隊員の起業・事業承継も支援します。今でも5,500名程度の協力隊員が全国で活動し、任期終了後に6割が同じ地域に定住し地域で活躍しています。私も、視察先で多くの立派な協力隊員に出会いました。この協力隊員を更に発展させていこうと総務省内で音頭を取らせていただき、入口の多様化(シニア層、青年海外協力隊OB、在住外国人の募集強化)、出口の多様化(事業承継の担い手)、類似の制度との連携(地域おこし企業人の拡充)を提案し、これらは私が退任した後も定着しています。
消防行政に関しても、総務省の事務方と力を合わせて新たな政策を実現しました。消防資機材の海外展開です。総務省には、日本のデジタル放送や情報関連機器を海外展開する部署はありましたが、旧郵政省と旧自治省の縦割り文化が残る中で旧自治省の所管である消防資機材を海外に売り込む戦略はありませんでした。他方で、スプリンクラー、火災報知器から消防ポンプ車に至るまで日本の消防資機材は質が高く、また、特に高温多湿で人口密度の高いアジア諸国に適しており、高い可能性を感じていました。そこで、消防庁に協力してもらい、官民挙げた体制を築くため、まずはベトナムとの協力協定を実現しました。
野田聖子大臣の下で、人口減少の中で、将来の自治体の姿から逆算して地方行政に必要な政策を考える勉強会にも参加しました。【自治体戦略2020の報告書】この中でも自治体業務の標準化・スマート化については、当時の小林史明政務官とともに別の検討会を立ち上げて、最終的には2021年の国会で「自治体情報システム標準化法」として成果を得ることになりました。